【ミニバス指導】練習計画 – スキル項目分解の実践
前回の記事では、練習計画の作成において、スキル項目を分解することの必要性について書いました。
今回は、具体的な例を挙げて実際に項目を分解していきたいと思います。
はじめに
今回、具体的な例を挙げて、実際にスキル項目を分解していきます。
練習計画を立てるための手順で言うと、以下の赤点線部分です。
チームスローガンを達成するにあたり「選手に学んでほしい項目」は色々列挙できると思いますが、その中で1つ
ディフェンスリバウンドを死守する
を例として取り上げて、詳しく見ていきたいと思います。
ちなみに、リバウンドの大切さについては、以下の記事でも過去に取り上げていました。
リバウンドを制するものはゲームを制するのか?
スキル項目分解の実践
「ディフェンスリバウンドを死守する」を子どもたちに徹底させたいとして、「ディフェンスリバウンド死守しなさい!」って言うだけでは難しいですね。
どうすれば徹底できるのか?それを知るためにも、スキルを分解して詳しく掘り下げることが効果的であると考えます。
以下に分解していきます。
攻守切替の判断
リバウンドは、必ず攻守の切り替わり(コンバージョン)の時に起こるイベントだと言えます。
ディフェンスリバウンドならば、ディフェンスからオフェンスに切り替わるという局面で発生します。
私がミニバスの現場でよく思うこととして、この切り替りが苦手だということがあります。
リバウンドをせっかくとったのに、速攻開始までが遅い。
リバウンド以外でも、ミスをして相手にボール取られたというのに、ディフェンスに戻るのが遅い。
などなど。
ディフェンスリバウンドと取るために、一番最初に必要となるスキルは「攻守切替の判断」であると思います。
攻守切替の判断 → トーク
相手の攻撃が終わったという攻守切替の判断をするために、相手がシュートを打ったことをいち早く気付く必要があります。
マークマンがシュートを打ったならば簡単ですが、常時ボールを見ているとは限りません。
ボールを見ていなくてもシュートを打ったことに気付くためには、声をかけ合うこと「トーク」が必要となります。
相手のシュートに一番最初に気付いた人が声をかけて、全員が一斉にリバウンドの体勢となる。
「声を出すこと」バスケットスキルではないところに関連してきました。面白いですね。
チームの決まりごとに「声」を入れていることが、ここでも生きてきます。
攻守切替の判断 → リアクション
相手のシュートに気付いても、味方の声を聞いたとしても、反応が遅かったらリバウンドへの対応が遅れてしまいます。
何かに反応するということは、バスケット土台となるコーディネーション能力のひとつ「リアクション」です。
逆に捉えると、「リアクション」を鍛えることは、攻守切替にも効果があるということが分かります。
コーディネーション能力については、いつか記事を書く予定です。
ボックスアウト
攻守切替の判断をして、リバウンドの体勢に入ったら、次に行うことは「ボックスアウト」です。
マークマンを背中で締め出し、リバウンドの取りやすいポジションを確保する技術です。
指導教本によると、ボックスアウト以外に「チェック&ゴー」というスキルもあるとのことです。
マークマンを一瞬だけ体で捕らえて、すぐにボールに飛びつくという技です。
どちらを採用するかはコーチ次第。私はボックスアウトを採用しています。
ボックスアウト → ヒット
ボックスアウトも更に分解が可能です。
まずはマークマンのところまで行きコンタクトする「ヒット」を行います。
マークマンに半身になって、片方を腕を当てる動作となります。
相手がシュートを打ったら、すぐにボールに飛びつくのではなく、相手にポジションを渡さないことが最優先です。
ボックスアウト → ターン
ヒットでマークマンに腕を当てた状態で、ボールの行方を見ます。
マークマンもリバウンドを取りたいので、ヒットした腕を振り切ってゴールに近づいて来ようとするはずです。
その動きに合わせてターン。背中で相手をとおせんぼ。
ターンの仕方も状況に応じて、フロントターン、リバースターンの2種類の技術があります。
ボックスアウト → ブロックアウト
ターンしてマークマンを背中で背負ったら、マークマンの動きに合わせて、とおせんぼし続けます。
この辺の用語が書籍によってバラバラなのですが、マークマンを締め出すということで「ブロックアウト」としました。
ジャンプ
ボックスアウトしながら、ボールの行方からは目を離しません。
ボールが落ちてきたら、タイミングを合わせて飛びつきます。
ボールに飛びつくリジャンプも、練習して身に付くスキルだと思います。
ジャンプのタイミング、連続してジャンプできる脚力など、小学生には簡単ではありません。
リバウンドキャッチ
ジャンプして空中でキャッチします。
キャッチのスキルも両手キャッチ、片手キャッチと2種類があります。
JBA公式テキストにも、片手キャッチは14歳以降に分類されていますし、ミニバスの年代は両手としています。
アウトレットパス or ドリブル で密集地帯を脱する
ここまで来てやっとリバウンドを取ることができました。でも、これで終わりではありません。
味方にパスを出すか、パスする相手がいなければドリブルで、密集地帯を脱する必要があります。
ここまでやって無事、オフェンスに切り替わることができました。
まとめ
ここまで上げたスキルを相関図にまとめてみます。
「ディフェンスリバウンドを死守する」という項目1つを取ってみても、分解してみることで多くのスキル要素が含まれていることが分かりました。
ここまで分解することで、どのような練習に取り組むべきかが明確に分かります。
今回は、例として「ディフェンスリバウンドを死守する」の1つだけを取り上げましたが、列挙した「選手に学んでほしい項目」の全てにおいて分解作業を行うことで、チームに必要なスキルのリストが出来上がります。
このリストが、ミニバスの年代で習得すべきスキルのどこまでカバーできているのか?についても、確認することが可能となります。
カバーできていないスキルについては、中学校以降で良いとするか、小学校でやるべき項目のピックアップ洩れなのか、そういった検証も可能となります。
そもそも、ミニバスの年代で習得すべきスキルって何なのでしょう?
次回は、このテーマで書いていきます。
最後までお読み頂きありがとうございました。
それではまた!