【スキル体系】ミドルレーン中心のファストブレイク

スキル体系オフェンス, コーチ, スキル体系, ミニバス

トランジションとは、コンバージョン(攻守切替)が発生してから、攻撃側がゴール付近までボールを移動させる過程のことでした。
この時のオフェンスをトランジションオフェンスと呼びます。

トランジションオフェンスの中で、相手のディフェンスが整わないうちに攻撃することをファストブレイクと呼びます。
ワンパス速攻もファストブレイクの一種となります。
この記事では、複数人の選手で組織的に攻めるファストブレイクの中でも、ミドルレーン付近を使うものについて取り上げます。

スキル体系図

解説

 ミドルレーンを使った速攻

下図の通り、制限区域の幅(4.9m)でゴール間を結ぶレーンをミドルレーンと呼びます。
そして、ミドルレーンの右側が「右サイドレーン」、左側が「左サイドレーン」です。

ミドルレーンを中心としたファストブレイクでは、 2メン 3メン が有名です。
これらは練習メニューとしても超有名ですね。
私のチームでも普段の部活動で行っていますし、私が学生だった大昔からやっている練習です。

 5mのスペーシング

2メン、3メンの速攻において大切なことの1つに、スペーシングがあります。

スペーシングとは、オフェンスとオフェンスの間隔のことを言い、5m以上空けることでディフェンスが守りにくくなるとされています。
逆に、5mより狭いスペーシングだと、1人ディフェンスが2人のオフェンスをカバーできてしまい守りやすくなってしまいます。

しかし、距離を空ければ良いというものではありません。
距離が空き過ぎてしまうと、今後は強いパスが通らなくなってしまいます。
ふんわりとした弱いパスとなってしまい、カットされる危険性が高まります。
オフェンス間の距離は、5mを保つことが良いとされています。

2メンの場合には、2人が制限区域の少し外側を走ることで、5mの間隔が保てます。
制限区域の幅が4.9mなので、ちょうど良い目印ですね。

3メンの場合には、真ん中を1人走ります。
両サイドを走る2人は、ファウルライン(フリースローライン)の延長線が3ポイントラインと交差する点。
これを目安にするのが良いとのことです。
この点は、計算すると、コートの中央から約5.26mとなります。
良い目印となりますね。

練習で行う、2メン、3メンは、パスだけでレイアップシュートまで持っていくことが基本となります。
しかし、実践では、 ドリブル をしながら、ディフェンスの動きを探ることが多いと思います。
ディフェンスが出てきたら、すかさず味方にパス。
この時、ノーモーションで素早くパスできる  クイックパス が重要となります。

3メンによる速攻の注意点

ファストブレイクで3対2の状況となった場合、3人でボールを運んで行ったとしても、最終的には2対1の状況を作ることが望ましいとされています。
3対2の状況では、ディフェンス2人は縦に並ぶことが多いと思います。
制限区域よりも前の段階でディフェンス1人をかわし、ゴール付近で2対1の状況を作るように、目的を持って攻めることが重要となります。

何も考えずに3対2のまま進んでいくと、ゴールに近づくにつれて5mという最適なスペーシングが保てなくなります。
そうなると、せっかく3対2で数的有利な状況にも関わらず、ディフェンス側は1人で2人をカバーできてしまう状況となります。
数的有利な状況を活かしきれなくなってしまいます。

また、ディフェンスが1人で3対1の状況の場合、そのまま攻めるのではなく、なるべく2対1を作る方が良いとのことです。
万が一パスミス等で相手にボールが渡ってしまった場合、相手チームが人数的に有利となるためです。
そのまま3人で攻めるのではなく、ボールマンはどちらかのサイドによることで2対1を作ることができます。

練習の3メンは速攻の練習ではない

普段練習メニューとして行っている3メンについて、
鈴木 良和 (株式会社ERUTLUC)著「バスケットボールの教科書2 戦術と戦略の核心」
に以下の記述がありました。

3メンはほとんどのチームがやっている「超」がつくほど有名な練習ですが、実は試合中にこの形で速攻を出せる場面はあまりありません。
3メンには速攻の練習という目的の他に、繰り返し行うことで脚力をつけたり、パスやキャッチなどのハンドリングを磨いたりするという意味もあります。
しかし、もしこれを速攻の場面を増やすために取り組んでいるのだとしたら、もう少し速攻の形を吟味する必要があるかもしれません。

確かに、実際の試合で3メンの練習のような、3線速攻は見たことがありません。

著者の鈴木さんの仰る通り、練習の目的はハンドリングや脚力といったファンダメンタルです。
普段の練習において、この目的をもっと明確にして周知しなければと反省させられました。

もしも3線速攻行うとした場合にポイントとなるのは、真ん中の選手の判断力とのことです。
ディフェンスを引きつけてかわして2対1の状況を作ったり、ディフェンスの位置を見極めて両サイドにパスを捌いたり。

練習の3メンでは、ボールの流れが決まっていることが多いですからね。
この判断という部分が欠けています。
もしも速攻の練習として3メンをやるのだとすれば、ディフェンスを1人置くことが効果的とのことでした。
今後、練習メニューを組む上で参考になると感じた部分でした。

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スキル体系図の見方

参考文献