【ミニバス指導】スキル体系図 – 指導現場に活かす3つのメリット

2022-03-25バスケ指導コーチ, ミニバス

前回の記事 【ミニバス指導】スキル体系図 – 概要とフォーマット にて、実際に作成した「ディフェンスリバウンド」のスキル体系図を例に、フォーマットと見方について説明しました。
今回は、ミニバス指導現場でどのように役立つのか?スキル体系図を作成することのメリットについて説明していきたいと思います。

はじめに

スキル体系図を作成した経緯は、本ブログの「バスケ指導」カテゴリにまとめていますので、参照頂けると幸いです。

前回紹介した「ディフェンスリバウンド」のスキル体系図は下図でした。

実際のスキル体系図を例として、指導現場でどう活かすことができるのか?メリットを3つ紹介します。

①必要スキルの全体像を可視化

ディフェンスリバウンドを獲得するために、必要なスキル要素を一目で見渡せる点が最大のメリットであると思います。

スキル要素同士の関係性が分かれば、ディフェンスリバウンドが取れない原因に早く辿り着くことができます。
ボックスアウトがリバウンドを取れない理由だと気付いたら、「そもそもマークマンをしっかり捕らえられているか?」「ヒットしたあと、しっかりブロックできているか?」など、もう一段深い視点で選手たちを見ることができるようになります。

ベテランコーチの方々であれば全て頭に入っていて、意識しなくても原因に辿り着けることでしょう。
私のような経験の浅いコーチにとっては、このように学んだことを一旦図として書き出すことが、知識として定着させるために有効であると改めて認識しました。
いつでも確認できるよう見やすさを意識して作成した図ではありますが、図を描くという作業を通じて頭に入ってしまいます。

②練習メニューのカバレッジを確認できる

「ディフェンスリバウンド」を構成する、詳細なスキル要素を可視化することができました。
このスキル体系図を利用することで、取り組もうとしている練習メニューが、スキル要素全体のどの部分をカバーしているのか?「練習メニューのカバレッジ(網羅率)」を確認することができます。

ディフェンスリバウンドを獲得するための練習を色々やっているのだが、なかなか効果が上がらない。
このような悩みを持っている指導者が居るとします。(自分のことです)

スキル体系図の中で、行っている練習で習得可能なスキル要素を塗りつぶしみましょう。
そうすると、塗りつぶしから洩れたスキル要素が、ディフェンスリバウンドが上達しない原因かもしれない。と炙り出すことができます。

下図は、具体的に塗りつぶしを行った例です。
青色が練習でカバーできているスキル要素、赤色が抜けていることに気付いたスキル要素です。

この結果、今取り組んでいる練習では、「攻守切替の認識」「マークマンを捕らえる」といったところが、ほとんどカバーできていなかった。
試合でボックスアウトがなかなか成功しない理由は、攻守の切り替え判断が遅く、そもそもマークマンを捕らえることができていなかったからだ。
練習ではボックスアウトがしっかりできていても、そもそも練習成果を発揮するところまで行けていなかった。
普段の練習は「練習のための練習」になってしまっていたのかもしれない。

スキル体系図を用いることで、このような分析ができるようになります。

③段階的にレベルアップ可能な練習計画を立てることができる

スキル体系図を作成するそもそもの目的は、練習計画を立てるためでした。
経緯については、過去の記事を参照頂けたらと思います。

そもそもの疑問点は、練習計画として「ディフェンスリバウンド」をチームの目標と掲げた場合、「それをどのように計画に落とし込むのか?」というものでした。
特にミニバスという「バスケットボールをゼロから覚え始める年代」では、適切にレベル分けを行い、段階的な目標設定を行うことが重要であると考えていました。
この段階的にレベルアップ可能な練習計画を立てるために、スキル体系図を利用することができます。

下図は、作成したスキル体系図を元に、優先度の高い要素を抽出したものです。
その上で、青、緑、赤の線で囲むことでレベル分けを行いました。

レベル1として、まずは、身体能力や身体の使い方、キャッチ、ボールキープといった基本的なスキル習得を重点的に行います。
それができたら次はレベル2。個人レベルでボックスアウトからキャッチングまで一連の流れを習得。
最終的にレベル3。チームとしてボックスアウト、リバウンドボール取得、オフェンス開始の流れを習得。

単純な例ではありますが、スキル要素を段階的に練習計画と紐づけることが可能となります。
更に、練習ドリルについても、習得できるスキル要素を紐づけることで、目的を明確化することに役立てることもできます。

スキル体系図とスキルリスト

実際に作成したスキル体系図を例に、そのメリットを紹介しました。
前回の記事と併せて、スキル体系図のフォーマット、利用方法について定めることができました。
これでやっと「練習計画」と「選手に学んでほしい項目」の間を埋めることができそうです。

さて、今まで例として挙げた「ディフェンスリバウンド」のスキル体系図は、スキル要素の名称だけしか記載していません。
実は、もうひとつ必要な情報があります。
それは、各スキル要素の意味、ポイント、なぜ必要か?といったもっと具体的な情報です。

下図の通り、各スキル要素に対応した詳細な情報もまとめています。
これらの情報も含め、引き続き学んだ情報を本ブログに集約していく予定です。

最後までお読み頂きありがとうございました。
それでは、また!

2022-03-25バスケ指導コーチ, ミニバス

Posted by oziii18