【ミニバス】マンツーマンコミッショナーという役割(1)

2022-02-07バスケ知識コミッショナー, ミニバス

今回は、ミニバスの公式戦で必要となる「マンツーマンコミッショナー」という役割について書いてみようと思います。
育成年代のバスケに関わっていなければ、馴染みの無い言葉だと思います。私もそうでした。
マンツーマンコミッショナーとはどういう役割なのか?
実際の現場での経験を交えて紹介できたらと思います。

マンツーマンコミッショナーとは?

コミッショナー。すごく偉そうですよね。

正直私は、コーチとしてミニバスに関わるようになってから初めて知った言葉でした。
それまでも一応バスケ部の保護者ではありましたが、仕事が忙しく、ほぼ試合に顔を出せていませんでしたから。
コーチになって、初の公式戦でコミッショナー担当となり、焦って勉強したことを覚えています。

マンツーマンコミッショナーとは何なのでしょうか?

会話の中ではマンツーマンを省略して「コミッショナー」って良く言います。
組合わせ表など書類上では、更に略して「CM」と書かれていたりもします。

答えはJBAのホームページに載っています。

http://www.japanbasketball.jp/players_development

15歳以下(小学・中学)のバスケットでは、ゾーンディフェンスは禁止となっています。必ずマンツーマンディフェンスを行わなければなりません。

ゾーンディフェンスとは、5人それぞれが場所を決めて「エリアを守る」作戦のこと。
これに対して、マンツーマンディフェンスとは、言葉の通り「人を守る」ディフェンス。
マークマンを決めて、原則1対1でディフェンスをします。
条件が揃えば1人に対して2人でディフェンスしても良いのですが、その辺もちゃんと定義されています。

なぜマンツーマンディフェンスなのか?

なぜ、マンツーマンディフェンスが推奨されているのでしょうか?
JBAホームページに詳しく書かれているのですが、一言で言うと「個々のスキルアップのため」です。

バスケットの基本は、確かに1対1で養われるものだと私も思います。
目の前の相手をしっかり止められるディフェンス力。
目の前の相手を突破して得点できるオフェンス力。
「みんなで勝つ」ためには、個々の力が不可欠です。

マンツーマンディフェンスという縛りを付けることで、1対1が5組出来上がることとなりますよね。
5組それぞれが、均等に経験を積むことができます。

育成年代におけるゾーンディフェンスのデメリット

ゾーンディフェンスは、ゴールから遠いエリアと、ゴールに近いエリアで、役割は大きく異なります。
ゴールから遠ければ、ロングシュートやドライブを止めること役割が多い。
ゴールから近いところには、体のぶつかり合いや、リバウンド争いが多い。
役割のために最適な選手を配置することとなります。

オフェンス側にとっても、個人スキルで崩していくというよりは、チームで作戦を立てて隙間を攻めて崩すという攻め方となります。

育成年代のうちから役割を決めてしまうことは良くないと言われています。
決まったプレイしかできない選手が育ってしまいますからね。

特に小学生は、この先どのように成長するか分からない。
小学生時代に背が小さくても、中学で一気に伸びるかもしれない。
若いうちはなるべくオールラウンダーを育てましょう。ということが推進されています。
これについては、私も賛成です。

マンツーマン推進のデメリット

もちろんデメリットもあると思います。

マンツーマンディフェンスは、ディフェンスの作戦の1つ。
ゾーンディフェンスもディフェンス作戦です。
ただし、2-3、3-2など多くのフォーメーションがあります。
相手チームの特徴と、自チームの能力に合わせて、最適なディフェンスを選択して戦うって感じです。

ゾーンディフェンスを禁止して、マンツーマンディフェンスだけにする。
これはつまり「戦術の幅を絞り込んでいる」とも言えます。

そう捉えると、戦術の幅が広い方がバスケIQは育つような気がします。
伸び盛りの時期に、運動能力を伸ばすのか?バスケIQを伸ばすのか?
日本は、運動能力を取ったということなのだと思います。

マンツーマンコミッショナーの役割とは?

公式戦でマンツーマンディフェンスがしっかり行われているか、チェックすることが役割です。
スコアラーズテーブルとベンチの間に2人で陣取り、1人は赤と黄色の旗を持ってスタンバイ。違反したら審判やベンチに旗を振って知らせます。
もう1人は、チェック表に起きた事象を記録するのが役割です。

先ほど紹介したJBAホームページに、「マンツーマンコミッショナーチェック表/報告書」というWord文書があり、9項目のチェック項目が載っています。(下表)

項目No.内容
1マンツーマンディフェンスの意識がある。(声のサイン・手のサイン・アイコンタクト・ポジション等)
2ボールや相手と共に動いている。
3少なくとも、マッチアップエリア付近からはマンツーマンディフェンスを始めている。
4マッチアップエリア内のオンボールには 1.5m 以内を目安としてマッチアップしている
5オンボールのトラップはよいが、トラップが終息したら直ちにマッチアップを開始している。
6ヘルプサイドのディフェンスがミドルラインをまたぎ越していない。
7オフボールの選手に対して、数的優位な守り方をしていない。(U15 で予測に基づくプレーを除く)
8オフボールのオフェンスのポジションチェンジに対し、スイッチしていない。
9オフボールのディフェンスでは、マッチアップするプレーヤーを意識して移動している。
マンツーマンコミッショナー チェック項目

マンツーマンディフェンスしているかチェックするのがコミッショナー。
それじゃ、マンツーマンディフェンスの定義ってなに?
それが上の9項目です。

このチェック、本当に難しいんですよね。
初めての時は一夜漬けで乗り込んだのですが全然ダメでした。
一緒に担当した他校の先輩コーチに教えて頂きながら、少し分かってきたという感じでした。
今はだいぶ見れてきましたが、それでもまだ自信ありません。

長くなってしまいましたので、今回はこの辺にしようと思います。
次回、各チェック項目について、もう少し詳しく書いていきたいと思います。
次回へつづく…